いくつかの便秘解消法と健康法を紹介する。

腸には多くの免疫細胞が集まっています。腸の上皮細胞の表面には粘液があります。この粘液には消化された栄養素にまぎれこんで病原体が体内に侵入してくることがないように殺菌物質やウィルスを不活性化する物質が含まれています。

 まず最初は腸内細菌と腸管免疫細胞の表面にある受容体との結合から始まります。腸管免疫細胞にはアンテナのような突き出す形で「トル受容体」というたんぱく質があります。腸内細菌たちの成分の特定のものがトル受容体と結合して、免疫細胞に情報を送ることになります。免疫細胞はその情報から、免疫反応をどのようにすればいいかを判断します。

腸内には「ＩｇＡ抗体」という免疫物質も大量に存在します。（抗体とは特定の非自己物質にくっつき、その異物を排除する分子のことです。）ＩｇＡ抗体は浸入する病原体と結合して仕事をします。その仕事は病原性細菌の腸管への付着を抑えたり、病原性細菌の毒素を中和したりする仕事です。

ＩｇＡ抗体は、病原性細菌と腸内細菌のいずれにも反応します。ところが、病原性細菌と腸内細菌とでは反応の強さと方向が異なります。病原菌が浸入してくると、細菌の表面にある分子や病原菌が放出する毒素をＩｇＡ抗体が認識し、これを除去するため激しく反応します。

ところが、腸内細菌の場合はＩｇＡ抗体は反応していますが、反応が弱いか、逆に抑制する方向に働いています。なぜこのような反応になるかというと、腸内細菌は病原菌のような免疫反応を起こす成分をもっていなくて、免疫反応を抑える独自のものを持っているからです。

だから

ＩｇＡ抗体が病原性細菌と腸内細菌を判別しているので、腸内細菌は攻撃をされません。

ＩｇＡ抗体には腸内細菌を選別することができます。０才の赤ちゃんは、腸に侵入してきたすべての細菌をすませるわけではありません。どの細菌をすまわせて、どれを受け入れないのかを決めているのが、ＩｇＡ抗体です。ＩｇＡ抗体がくっついた細菌だけが腸内の粘液にすみつくことができます。

地球上には現在およそ８０門に及ぶ細菌種が発見されています。（門とは生物の分類階級のひとつです。）腸内にすみつくことができるのは約８０門のうちのわずか４門だけです。その多い順に言うと「フィルミクステス門」「バクテロイデス門」「アクチノバクテリア門」「プロテオバクテリア門」でこれだけで腸内細菌の９０％以上占めています。

ＩｇＡ抗体は腸粘膜でつくられますが、母乳のなかにも含まれています。特に母親が初めて出す初乳にはたくさんのＩｇＡ抗体があります。初乳は細菌を腸にとりこむためにとても大事なことになります。また、生まれてから１年以内が腸にとってもとても大事な時期になります。なぜならば、この時期に様々な細菌をとりこむことが生涯にわたる腸内細菌を決めることはになるからです。