ぬるま湯につかることで筋肉や関節部の組織をゆるめやわらげます。鎮痛作用もあることから、関節可動域を増す効果もあります。さらに血管拡張作用により血行が促進され、抹消にとどまる血液が増えることで血圧も下がることになります。
高温浴に比べて長時間入浴することができ、温ためられた血液が体内を循環することで、深部体温が上がります。つまり体の芯まで温もることができます。ひいては、胃腸の温度が上がり、胃腸の動きが良くなり、便秘にも効果的です。
また、血液循環がよくなると、筋肉のコリや痛みの原因になる乳酸などの疲労物質の代謝や代謝産物の排出が促進されるため、疲労回復を促すことになります。
就寝の1~2時間前に長めの入浴をして、深部体温を1℃以上上昇させると、寝つきもよく睡眠も深くなることがわかっています。一日の体温リズムの中で午後8時から10時頃が体温の下がる傾きが一番大きいので、この時間に合わせて入浴するのが良質な睡眠を得ることができます。
人は様々なストレスを受けることで、それに対してヒートショックプロテイン(HSP)と言われるタンパク質を作ります。このHSPがストレス防御に対応することがわかっています。HSPは傷ついたタンパク質を修復するタンパク質です。様々なストレスによって誘導されますが、その中でも熱ストレスによって増加するのでヒートショックプロテインと呼ばれています。
しかし、このHSPが傷ついたすべてのタンパク質を修復できるわけではありません。あまりにもひどく傷ついてしまったときは、HPSは、修復されないままの細胞をアポトーシスという自然死へと導きます。
それ以外にHSPは直接酵素などの様々な因子に作用する働きがあります。NF-κBという炎症反応や細胞増殖などの生理現象に関与している転写因子の活性を低下させる働きがあります。
このNF-κBが活性化することで起こってくる病気、たとえば関節炎、リウマチ、気管支ぜんそく、クローン病、悪性腫瘍などに対してHSPの効果が期待できます。
HSPは適度なストレスを加えると、増加することがはわかっています。適度な熱ストレスを加えることが、安易で安全なストレスのかけ方です。その安全なストレスをかけてHPSをつくる入浴法が次のHSPを意識した入浴法です。
・42℃のお湯ならば10分間、41度のお湯ならば15分、40℃のお湯ならば20分ほど、肩までつかって入ります。(半身浴ではなく、全身浴)この時体温は38.5℃まで上げるようにしましょう。
・入浴後はタオルやバスローブを使って20分ほど保温します。
・保温後はできるだけ自然に体温を戻します。
このような入浴法で週に2回のペースが、もっとも効果的になります。
入浴にはストレスを緩和させる働きと免疫力や抗ストレス作用を高める働きがあります。目的に応じて入浴温度や入浴方法を使い分けて、ストレスによる便秘も解消しましょう。
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