過敏性腸症候群(IBS)とは、主に精神的な緊張・不安・ストレスが原因で、下痢、便秘といった便通異常や 腹部膨満・腹痛・ガスなどの症状が繰り返し起こる病気をいいます。腸を検査しても、 明らかな異常は見つからないのが特徴です。
過敏性腸症候群は、下痢が続く下痢型、便秘が続く便秘型、両者の混合型、ガス型(おならがよく出る)の4つに分けられます。過敏性腸症候群の原因は、まだはっきりとわかっていませんが、 精神的なストレスが深くかかわっていると考えられています。
仕事や勉強、人間関係、家庭内のトラブルなど、現代社会にストレスを招く原因があふれています。過敏性腸症候群は、まさにこうした社会環境が招く現代病といえるでしょう。
もともと脳と腸には、脳腸相関といって、他の臓器より密接な関係にあります。 腸には、脳と直結した腸管神経叢という神経細胞のネットワークがあるのです。
そのため、脳がストレスを感じるとその刺激はたちまち腸管神経叢に伝わり、それが腸の異常を引き起こします。そして、その腸の異常が、新しいストレスになって脳に伝わります。
また、大腸の働きは、自律神経によってコントロールしています。ストレスが加わると、
自律神経の働きが乱れ、便通異常が起こしやすくなります。
そして、過敏性腸症候群の人は、他の人よりも腸の反応が敏感で、わずかなストレスでも便通異常を起こしやすのです。
ストレスをうまく解消することが改善のポイントになります。簡単で行えることでは、睡眠と食事をしっかりとることや、仕事の合間にすべてのことを忘れで10回ほど深呼吸を行うことが良いでしょう。
普段の生活での心理的な緊張をとることも過敏性腸症候群の改善にとても重要です。例えば、何度もトイレに行くのを、他人に知られるのが嫌で我慢してしまう。
このことが症状を悪化させたりしている人が少なくありません。トイレに行ってすっきりできるのならば、他人の目を気にせず何度でも行けば 良いと思えるようになることが大事です。また、外出先ではトイレの場所を確認しておくととても安心できます。
FODMAPとは小腸で吸収されにくい4種類の糖質ことをいいます。糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたものです。糖質には多くの種類がありすが、過敏性腸症候群の人の腸に負担をかけるのは、発酵性のある4種類の糖質です。FODMAP食事法とはFODMAPである食事を避けるようにする過敏性腸症候群の新しい食事療法です。
FODMAPは、発酵性のあるこの4種類の糖質のアルファベットの頭文字にANDを加えた言葉です。Fは「発酵性の」、Oは「オリゴ糖」、Dは「二糖類」、Mは「単糖類」、Pは「ポリオール」を意味します。
難消化性であるオリゴ糖は、人が消化吸収できない糖質です。腸の健康な人なら腸内で善玉菌
のエサになります。しかし、オリゴ糖の中のがガラクトオリゴ糖とフルクタンは、過敏性腸症候群の人の腸内では、ガスを発生するなどの悪さをするので、避けるべき糖質です。
ガラクトオリゴ糖は豆類にフルクタンは小麦や玉ねぎなどに含まれています。パンをはじめ腸に良いとされている納豆も避けるべき食品です。
二糖類の中でも乳糖(ラクトース)は過敏性腸症候群の人は避けたいです。牛乳やヨーグルトなど一般的に健康に良いされている乳製品に含まれています。乳糖を分解するには酵素・ラクターゼの働きが必要です。ラクターゼがうまく働かない人では、少量しか分解することができず、お腹がゴロゴロしたり、下痢をしたりします。
単糖類の中で避けたいのは、果糖(フルクトース)です。フルーツ、はちみつ、コーンシロップに含まれています。体に良いイメージのりんごも、過敏性腸症候群の人にとっては、避けたいフルーツになります。コーンシロップとは、デンプンから作られた糖で果糖ブドウ糖液糖、高果糖液糖などの名称でジュースなどに添加されています。
果糖はグルコース(ブドウ糖)との量のバランスが重要で、果糖よりもグルコースが多ければ、吸収がうまくいくので、お腹の調子が悪くなりません。果糖の割合が低いフルーツを適量食べることが大事です。果糖の多いフルーツを食べなくてはならないときは、グルコースの粉(薬局で市販されている)をかけて食べることで、症状を軽くすることができます。
ポリオールは糖の分子とアルコールが結びついた糖アルコールと呼ばれるものです。キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イソマニトール、ポリデキストロースなどがあります。
野菜やフルーツに含まれているいたり、シュガーレスのガムなどに人工甘味料として使われています。ポリオールの分子量の大きさや性質から、小腸の吸収が悪いため、過敏性腸症候群の原因になります。一回の食事当たり0.5g以上含まれていると不調になりやすいです。
FODMAP(フォドマップ)を多く摂取すると、腸の水やガスを増加することになります。小腸で消化されにくく、高浸透圧性のため腸に水分を移動させます。その上、大腸で発酵するため下痢、腹痛、ガスだまりの原因になります。
果物
バナナ、メロン、グレープフルーツ、ぶどう、レモン、みかん、オレンジ、ラズベリー、いちご、ブルーベリー
野菜
にんじん、ピーマン、きゅうり、レタス、オリーブ、じゃがいも、、なすび、インゲン豆、トマト、ズキーニ、もやし、葉野菜
タンパク質
牛肉、鶏肉、豚肉、卵、豆腐、ピーナッツ、マカダミアナッツ、くるみ
穀類
米、オーツ、そば粉、とうもろこし
乳製品
バター、乳糖除去製品
その他
メープルシロップ
フルクトースの多いもの
りんご、なし、マンゴ、すいか、はちみつ、ドライフルーツ、果物のかんづめ、コーンシロップ
ラクトースの多いもの
牛乳、チーズ、ヨーグルト、アイスクリーム、チーズソース、クリームソース、生クリーム
フルクタン・イヌリン・ガラクタンが多いもの
玉ねぎ、にんにく、グリーンピース、ブロッコリー、麦、ライ麦、アスパラガス、大ネギ、キャベツ、大豆、豆乳、ひよこ豆
糖アルコール・ポリオールが多いもの
さくらんぼ、プラム、プルーン、アボガド、ライチ、桃、キシリトール、ソルビトール、マルチトール
コルチゾールのようにストレスによって分泌量が変化するホルモンをストレスホルモンと呼んでいます。ストレスホルモンの量でストレスの大きさを測ります。
客観的なストレスマーカーであるストレスホルモン(唾液中のコルチゾール)がC-23ガセリ菌の摂取によって、分泌が抑えられているという実験結果が出ています。
これは、ストレスを感じて異常をきたしている腸内で、C-23ガセリ菌は腸から脳へつながる神経活動を活性化させると考えられます。すると脳から指令が出されるストレスホルモン(コルチゾールなど)の分泌が抑えられることから、ストレス応答の緩和されると考えられます。
また脳から腸へつながる自律神経活動が調節され、ストレス時に乱れる自律神経活動を正常化し、ストレスによる不調を改善すると考えられています。
C-23ガセリ菌はこのような脳腸相関のサイクルに働きかけ、過敏性腸症候群のお腹の不調を正常化する作用があるのです。
コルチゾールはストレスホルモンと言われ、ストレスの大きさを測る目安になるものです。このコルチゾールの値を下げることで、ストレスが少なくなり、ひいては過敏性腸症候群を治す方向に働くことになります。C-23ガゼリ菌の継続的な摂取が、ストレスの感じやすさを和らげます。
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