体温調整に使われる汗は、エクリン腺という汗腺でつくられ汗として出てきます。エクリン腺は、ほぼ全身の皮膚に存在します。汗腺の数もたくさんあり、全身に覆うようにあるので、多量の汗をかくことができます。
もう一つの汗腺にアポクリン腺という汗腺があります。アポクリン腺の多くは、わきの下や額、頭部、股間周辺部などに存在します。エクリン腺に比べて数は少ないです。また、アポクリン腺からの汗は、独特の脂やタンパク質が含まれています。
同じ汗くさくても、わきのにおいと足のにおいが違うのは、アポクリン腺からの汗かどうかがポイントになっています。 わきにはアポクリン腺がありますが、足にはアポクリン腺がないからです。
アポクリン腺からの汗 に含まれる脂質が皮膚にすむ細菌に分解されると、わき特有のにおいが放つようになります。 アポクリン腺の汗もエクリン腺の汗ももともとは無臭です。
においがするのは、汗の成分や皮脂などが 分解されることで臭うようになります。また、足が手と比べてにおいやすいのは、靴や靴下の中は湿度高く 細菌が繁殖しやすくなるからです。細菌によって臭いがつくられています。
わきのにおいや足のにおいが気になる場合は、清潔に保ち、通気を良くして乾燥させるようにすれば良いことになります。 汗じたいがにおうわけではないので、細菌を増やさないようにすれば、臭いは抑えられることになります。
汗のにおいをおさえるためによく制汗剤を使います。制汗剤はどのようにして汗をおさえるのでしょうか。
普通の市買にある制汗剤に含まれる物質が汗腺の開口部のタンパク質と結合して固まり、汗腺をふさぐことで汗を止めます。 この働きをもつ成分には、クエン酸などの有機酸と酸化亜鉛、ミョウバンなどの金属塩があります。とくに金属塩は有機酸よりもこの作用が強く、 多くの制汗剤に含まれています。化学物質で汗腺にふたをするのですから、汗は止まっても、体に良いわけがありません。
汗腺でつくられたばかりの汗は0・9%の塩分濃度になりますが、実際に外に出てくる汗は0.2~0.4パーセントの塩分濃度になります。
残りの塩分はというと、体内に回収されていきます。汗腺にはつくられた汗から塩分を回収する機能(再吸収機能)をもっています。 生物にとって塩分はとても大事なもので貴重なものです。再吸収することで、塩分の流失を最小限にする必要があります。
しかし、一定時間の再吸収可能な塩分の量は、作られるトータルの汗の量によって変わりません。だから、大量に汗をかいた場合は再吸収が追いつかず、 たくさんの塩分を放出してしまうことになります。
そうならないようにするには、こまめに汗をかいていくことが、塩分を温存できるナチュラルで良い方法になります。 こまめに汗をかくことが、においの元になる塩分が少なくなるので、汗のにおい対策にもなります。
こまめに汗をかく練習としては、中程度の運動(ジョギングやテニスなどのスポーツ)をして、汗をかくことに慣れること大事です。また、運動をする習慣をもつことで塩分の再吸収の向上のほか、発汗がはじまると体温の低下するなどの変化がみられます。 そうなると、体温の上昇を敏感にキャッチして頻繁に汗をかくようになります。このとき、汗の塩分濃度が下がっていると、 汗がすみやかに蒸発し、塩分がない乾くのでベトベトとした感じが少なくなります。
エクリン腺汗の新しい役割が近年に確かめられています。エクリン腺の汗には、古い角質細胞を落とす作用や抗菌性のあるタンパク質があること明らかになりました。
また、汗は皮膚のバリア機能を高めることがわかりました。エクリン腺から正常な汗が出た場合には、次のような新しい効果が発見されました。
・不要な角質細胞を落とす酵素があり、その働きによって古い角質が落とされる。
・抗菌ペプチドという菌を寄せ付けないタンパク質の一種により、皮膚にすむブドウ球菌などの常在菌の増殖がおさえる。
・ダニから守り、アレルギー物質を浸入させない。
(ダニは人の皮膚細胞どうしの結合を切り離す作用をもつタンパク質をつくります。汗に含まれるある酵素がこのダニの出すタンパク質の働きをおさえることができます。 そのため、人の皮膚細胞は離れることなく密着しているので、アレルギー物質は皮膚に浸入をシャットアウトできます。)
汗には体温調整だけでなく、皮膚を菌やアレルギー物質から守るという役目もあるのです。アポクリン腺が出すにおいが、フェロモンを出す器官としての昔からのなごりがあります。
男性のわきのにおいが、女性にとってリッラクス効果をもつことや、女性のわきから出る物質の中に他の女性の生理周期が同調する場合があることが、 最近の研究で確かめられています。
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