小腸は胃の下にぶら下がった状態で体の中に固定されていません。適度の運動で刺激を受けるので、そこで停滞することはあまりないのです。
しかし、大腸は小腸と違って体に固定されていますので、積極的に刺激を与えないと、固くなって便が停滞してしまいます。それを防ぐためにも下腹部まわりの筋力をアップすることが大事で、これがひいては排便力のアップにつながります。
排便力の筋力アップで便秘や痔の改善効果が期待できます。
排便をするときにだれでも下腹部に力を入れます。いきむと腹圧がかって腸が刺激されて、排便が促されます。このときもっとも使う筋肉が腹筋です。腹筋でもおなかの中央を縦に走る腹直筋の力が重要です。腹筋(腹直筋)を鍛えることによって、いきむための腹圧を強め、便を送り出す腸のぜん動運動を促します。
この腹筋を鍛えるのがヘソをのぞき腹筋法です。簡単に見えますが、着実に筋トレすると排便力がついてきます。
①仰向けになって頭のうしろでに手を組む。ひざを曲げて立て足の間は少し開く。
ストレッチとツボ押しで、おなかの調子を整える。
②ヘソが見えるまで、ゆっくり頭を起こし10秒かぞえる。ゆっくり頭を倒して、①の姿勢に戻る。
③これを10回繰り返す。
この運動を1日10回を目標に頑張る。
排便の最後に働く筋肉は肛門括約筋です。イスの後にまわって、イスの背もたれを手でつかんで、足をひろげながら腰を深く落とします。そしておしりを左右にひねります。ひねる動作は腰を振るのではなく、肛門をねじるようにします。しゃがむことで肛門に適度の圧がかかりますが、左右にひねることによってさらに刺激が強まりとても効果的です。
肛門の開閉を行う肛門括約筋には、内肛門括約筋・外肛門括約筋・肛門挙筋の3種類があります。
内肛門括約筋は自分の意思では、肛門の開閉ができない筋肉で、いつもは閉じた状態です。直腸肛門反射と呼ばれる排便の仕組みで自動的にゆるみ開きます。
内肛門括約筋の外側にある外肛門括約筋は、自分の意志で、肛門を閉じることができる筋肉です。
肛門挙筋は内肛門括約筋・外肛門括約筋のさらに奥にある一番、力が強い肛門括約筋です。Uの字型の構造で、肛門の後方から前方へと向かって締める筋肉です。この筋肉も外肛門括約筋と同様に意識して開閉することができます。
内肛門括約筋は不随意筋なので、鍛えるのは難しいですが、外肛門括約筋と肛門挙筋は、自分の意思で動かせることができる随意筋のため、トレーニングで鍛えることができます。
①丹田(ヘソの下7cm下にあるツボの位置)を意識しながら息を深く吸います。
・尿端を広げて、背筋を伸ばして真っすぐに立ちます。
・両手に握りこぶしを作り、左右の腕を胸の前で交差させてます。
・肛門と丹田を意識しながら深く息を吸ってお腹をへこませます。
②口から息を吐きながら肛門とお腹に力を入れます。
・交差させた左右の腕を腰の両脇まで開きます。
・口から息を吐きながら、肛門とお腹に5秒間、力をいれます。
・肛門はお尻の穴を閉じるように力をいれます。
(腰を前に突き出すと、肛門に力がはいりやすくなります。)
・息を吐ききったら、一気に力を抜いて①の状態に戻ります。
①②を3回を1セットにして、最初は1セットで行い、慣れてきたらセット数を増やしてトレーニングします。
骨盤底筋は、膀胱や直腸、女性であれば子宮などが下がらないように骨盤の底から支えている筋肉群をいいます。この筋肉の衰えから尿漏れを起こす人がいます。
お腹や太ももに力を入れないようにして、感覚としては尿道や肛門を中へ引き込むようにしてギュッと縮めます。この筋肉の収縮を10秒間キープしてください。次に10秒間でそこの筋肉をゆるめます。1回1分を繰り返すことから実践してください。
慣れてくると回数を増やしてください。場所を選ばず、どこでも鍛えることができます。女性の場合は、骨盤内にある子宮や卵巣の血行を促進し、女性ホルモンの分泌を活性化する効果があります。
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